山で食べるご飯は美味い。『山と食欲と私』ー信濃川日出雄
山でごはん、食べてみたいなあ。。。
最近読む漫画と言えばコミックエッセイかグルメ漫画。
頭を使わずにさらっと読めてしまうものばかり選んでしまう。
昔はグルメ漫画なんて読むくらいなら直接食べればいいじゃんと思っていたけど、おいしそ~なごはんの描写を見るだけで満たされるものなんですなあ。
ということで、ほかにもおすすめのグルメ漫画たくさんあるので、食シリーズ第一弾ということで。
『山と食欲と私』はその名の通り、登山しつつ山ごはんを楽しむだけの漫画なんですが、これが面白いんですよね~。食べるだけでなく、もちろん山の景色や自然の描写も素晴らしいし、孤独を愛する主人公の山と向き合う姿とか、ご飯おいしい~!だけの内容ではないので。
レシピも山ご飯だけあって手間がかからず簡単おいしいので、すぐ真似できるし。
2017年現在5巻まで発売されています!
あらすじ※ネタバレあり
レッツ山ごはん
主人公の日比野鮎美(ひびのあゆみ)は都内で暮らす27歳のOL 。システム会社の経理担当として働く傍ら、毎週のように一人で登山を嗜む、単独登山女子(自称)。
鮎美の楽しみは、山でごはんを食べること。それはおにぎりにはじまり、パスタ、雑炊、ラーメン、更にはお酒や肉まんも。食べたいと思ったものを食べるのだ。
美しい山の中でおいしいものを食べる。そのためだけに日々を過ごしているとさえ考えているようで、食事にかける情熱はすさまじい。
出来合いのものを持っていくこともあるが、基本は自分でごはんを作り、出来立てを食べる。
そのために調理用のミニバーナーを持ち込むのはもちろんのこと、鍋やホットサンドメーカー、熱燗を作るためにおちょこなんかもリュックサックに詰めて登る。
パスタはあらかじめ水に浸しておいてすぐ茹でれるように準備しておき、ポン酢を持っていくのに丁度よい分量だけしょうゆさしに詰め替え、ジャンバラヤを食べるためにトマトをくりぬいて中に具を詰めておく、、、あらゆるアイデアを取り入れ、手間も惜しまない。
荷物が重くなるからって、中身を減らすんじゃなくて体力をつけようとしたり。家で食べたら普通のごはんでも、山で食べるともっと美味しおすなあ。
けっこうな手間暇と情熱をかけて調理したごはんだから、めちゃくちゃ美味しそう!
突然ですが、ここで個人的に美味しそうなごはんランキングベスト3!!
◆第三位 ほかほか牡蠣フライの簡単玉子とじ丼
牡蠣フライは出来合いのものですが、玉子はふらつく山道を割らないように気を付けながら運んできたもの。もちろん生!寒い山頂で食べたら最高~
◆第二位 超豪華ローストビーフ丼
これはあらかじめ牛肉を下準備しておいて、お湯につけたまま保温しつつお肉に火を通し、改めて火を通しなおしたもの。あとはお肉を切ってごはんに盛り付けるだけ・・・って文字で書くと簡単だけど、普通に作ろうとしても面倒だよ!
◆第一位 思い出のホットサンド
個人的にホットサンドが大好きっていうのもあるんですけど、これは食パンの中にチーズ、じゃがいも、ベーコン、スライストマトが入ってて、ちょっと焦げちゃったんですけどこれがまた美味い!
ほかにも美味しいアイデア料理がたくさんでてきます。見るだけでよだれがでそう。。。
食べるだけじゃない、登山の魅力
もちろん鮎美は、食べるためだけに山に登っているわけじゃない。
もともとは数年前にあった登山ブームに引っ張られて友達と山に登り始めたいわゆる『山ガール』だった鮎美。
次第に登山の魅力に憑りつかれ、今では一人でもくもく山に登り、体を鍛え、道具を揃えるなどほぼライフワークに。
平日は淡々と仕事をし、金曜日になると炭水化物をたくさん摂ってエネルギーを溜め、土日は山へ。時には有休を使って泊まりがけで山へ向かうことも。
山小屋で雑魚寝や寒空の下でテント泊だってなんのその!
山に入れば電波も繋がらないしトイレだってすぐにいけない。
けれどそんな不便でしかない環境こそが非日常で、スリルで冒険心をくすぐられるし、何よりその景色が鮎美を捉えて離さないのだ。
都内在住なのでほとんどは関東近郊の山々をめぐるのだが、その景色の美しいこと。
虫が湧いても、雨に濡れても、寒さに震えても、壮大な自然を前にすると苦労などふっとんでしまう。その快感が魅力なのだ。
鮎美が登山のなかで出会った人々も、みんな山が好きで道を歩く。
鮎美のようにご飯を食べることだったり、仲間でパーティーをしたり、せっせと歩くだけだったり。でもみんな、笑顔で山を降りていく。
広大な生命力、時に厳しい天気。
鮎美は命の危機にさらされたり、恐ろしい目にあったりすることもあるが、それでも登山をやめない。
なぜ山に登るのか?という問いには、「そこに山があるからだ。」と答えるのは有名な話だけど、その理由がちょっとわかった気がする。
なぜ、ひとりで登るのか?
鮎美はいつも、ひとりで山に登る。はじめこそ山ガールと言われ友達とピクニック気分だったが、今やそう呼ばれるのはなんとなく嫌だ。
そもそも若い女性が一人で登山なんてことがあまりないから、周りの人には理解されないし、登山の集団からは浮いている。
それでも、ひとりで登ることにこだわる。
元々の性格が人見知りということもあるが、会社の人に「山へ連れてって」と声を掛けられても全力で拒否してしまうくらい、ひとり登山にこだわりがある。
友達がいないわけじゃないし、山に入れば見知らぬ人と友達になって一緒に歩くこともある。
それはそれで楽しいし、集団での楽しみもあるけど、やっぱり『単独登山女子』でいたいのだ。
鮎美は時々考える。
何故一人で山に登るのか?
都会で人にもまれていると、時々自分が分からなくなる。
すぐに誰でもつながることができ、食べたいものがすぐ手に入る日常と、電波の入らない山奥でトイレさえすぐに行けない非日常。
仕事や生活で慢然と日々を消費しているなかでひとりで山に入り、他者や日常との距離をとって心を解放することで、鮎美は心のバランスを取っているのだと考えている。
それは人間関係から逃げているのではないか?
鮎美はそう自問自答する。その通りかもしれない。
それでも、明日を生きていくためにあえて厳しい環境に身を置くことが、鮎美にとっての禊なのだ。
感想
この漫画の影響で、初めてひとり登山というものに挑戦しました。初夏の宝登山。
初心者でも登りやすくて楽しかった~!運動嫌いの私が、はじめて楽しいと思えるスポーツでした。
鮎美のようにご飯をつくることは出来なかったけど(装備なかったし)、山で食べたおにぎりはコンビニのやつでも美味しかったなあ。
帰りは温泉入ったりしてリフレッシュ。
そんで、ひとりって楽だと改めて思ったよね。自分のペースで自分の好きなときに休めるし。とにかく気を使わなくていいから、そういうところも鮎美の単独登山好きの理由なのかもと思ったり。
鮎美は普通に可愛いお嬢さんで、人見知りとは言っているけど作中では知らない人と交流したり、それが縁で仲良くなったり、思っているほど人見知りではないんじゃないかな。会社の他人とは結局仲良くなって、一緒に登山始めてるしね。
物語は単に毎回山に登ってごはん、ではなく、山で遭難したり体調崩して断念したり、忘れ物して取りにまた登ったり、山小屋で豪華ご飯を食べたり温泉入ったり、グルメ漫画だけでなく登山漫画としても楽しめます。
鮎美はガチめな登山女子なので、会社でもスクワットしたり階段上り下りしてトレーニングなどして鍛えています。
とにかく山が好き!登るのがすき!という気持ちが伝わってくる。
私もせっかく踏み入れた世界なんで、あったかくなったらどこか登りたいな。
次はごはんも作りたい。
装備は結構お金かかるから、節約の方向で。。。
あと、作中には鮎美だけでなく、形から入る系男子が主人公の回もあるんですけど、これも面白いですよ!
作り方分からなくて生野菜でチーズフォンデュしたり。。。俺らしいStyleで!
何も考えずに楽しみたいときにおすすめです。
興味が湧いたらぜひ。
<おまけ>
箸忘れて枝で雑炊を食べる鮎美。その執念凄いぜ。
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