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上杉謙信が女武将だったら――?『雪花の虎』ー東村アキコ

 

 

上杉謙信女性説っていうのは、割と有名らしいですよ、奥さん。

 

雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

 

 

雪花の虎 2 (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 2 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

雪花の虎 3 (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 3 (ビッグコミックススペシャル)

 

  

雪花の虎 4 (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 4 (ビッグコミックススペシャル)

 

  

雪花の虎 5 (ビッグコミックススペシャル)

雪花の虎 5 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 2017年11月現在で5巻まで発売されています!

ちょうど川中島が見えてきたところです!

 

東村アキコ先生はデビュー作?の『きせかえユカちゃん』のときからファンで、あのテンションとギャグセンスに子供ながら尊敬してまして、、、、

でも正直、歴史ものっていうイメージないよね。

しかも戦国の漢!戦!みたいな漫画、どうなるんだろー?って感じで様子見してたんだけど、1巻試し読みしてみたら!

 

めっちゃおもしろい上杉謙信絵巻になってたよーーーー!

 

いつものアキコ節は抑えられてはいるけど健在で、私みたいに日本史疎いやつでも読みやすい工夫もされてました。

むしろ血なまぐさく重くなりがちな話が、ギャグで中和されてさらっと読んでいける!

主人公も「もしも上杉謙信が女性だったら」説のためもちろん女の子なので、恋愛描写もあって女性読者は嬉しいと思う。

なんでもかんでも恋愛要素を欲しがる私みたいな夢女子にはちょうどよいです。

 

 

<あらすじ>※ネタバレ注意

 

長尾景虎(のちの上杉謙信)は越後の国(今の新潟あたり)の姫として生まれましたが、その誕生には曰くがありました。

景虎の母の夢枕に毘沙門天が立ち、その生まれ変わりとして生を受けたというのです。

生まれてくるのは男の子だとばかり思っていた父・為景(ためかげ)は非常にがっかりしますが、それでも予言を信じて姫に「虎千代(景虎の幼名)」という男の子の名をつけ、男の子として育てたのです。

というのも、虎千代姫には後継ぎたる兄・晴景(はるかげ)がいるのですが、彼は体が弱く戦嫌いの気性のため、後継ぎには頼りないと思われていたからです。

毘沙門天の生まれ変わりたる虎千代姫、女子ながらその辺の男には負けないくらいの腕白で、「姫が男であれば・・・」という声は年々大きくなるばかり。

虎千代姫は姫で、自分は女ではない!男として戦に出るのだ!と息巻いているのです。

 

そんな中、父・為景が病に倒れ亡くなり、兄の晴景が後を継ぎます。

虎千代姫は弟として兄を支える決意を固めますが、体は日々女へと近づいていきます。

男になりたい虎千代と、男ながら主君たる威厳のない兄・晴景。

晴景は自分が越後を治めきれないことを自覚していて、このまま女として腐らせてしまう前にと、虎千代を男として元服させ、弟・景虎して越後の主要城である栃尾城主に任命します。

 

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↑一発でお城の姫君を悩殺する景虎。ヅカばりの男前さで一気に人気者に。

 

15歳にして一国の城主となった景虎。

女の城主が立ったなどと周りに知られれば、ただでさえ晴景の影響で越後諸国の勢力バランスが崩れつつあるのに、栃尾城はすぐ攻め落とされてしまう。

周りはそう危惧するのですが、景虎は女であることを隠そうとしません。

女ながらその気迫と度胸は並みの男以上であると自覚している景虎は、その頭の良さとカリスマ性で見事敵を撃退します。

しかしそのカリスマ性は、兄・晴景の甲斐性なさをいよいよ引き立ててしまい、周囲からは景虎を越後の国主にという声が高まります。

 

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↑兄・晴景。やさしくて弟思いなんですが、国主の器ではないと自覚。

 

兄を慕う景虎はその地位を脅かすようなことはしたくないし、兄の晴景も景虎から女としての人生を奪ってしまったことに後ろめたさを感じています。

お互い血を血で洗うような真似はしたくないーーーそう思った兄弟は、景虎が晴景の養子となり正統な後継者として、兄から国主の座を譲り受けた景虎。

こうして彼女は、女ながら22歳という若さで越後統一を果たしたのでした。

 

一方、彼女と生涯をかけて争うことになる武田信玄も、着実にその勢力を伸ばしており・・・。

 

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↑女子とは言えぬ気迫。裏切り者には容赦しねえ!

 

 

随所に、作者が感じた「謙信って女にちがいねえ!」という主張がたくさんされています。

女だったらこう考えるだろう、女であれば納得がいく・・・。

確かにそういわれてみると、むしろ女じゃない方が不自然とさえ感じてくるんですよね。

謙信の肖像画とか、信長に懸想されていたとか、謙信女性説を裏付ける逸話はたくさんあるそうですよ。

歴史ってほんと、資料が無い分想像の余地があって面白いですね。

 

で、この「雪花の虎」で面白いな、と思ったのが、

景虎が女であるっていることを非常にオープンにしているところなんです。

 

こういう男装の麗人系の物語って、女が男と偽って、隠すっていうのがセオリーだと思うんですけど、景虎ちゃんも父上母上も、みんな隠さないんですよ。

いや、部下たちはなめられるからとか士気が下がるからとかって男だと隠そうとするんですけど、景虎は積極的に女であることを主張して、むしろ女を武器にして戦っていくんですよね。

色仕掛けって意味じゃないんだけど、「まさか女が」と思わせておいて叩く、みたいな。

 

自分が女に生まれたことを悩んだり恨んだりしても、割と早い段階で自分の性を受け入れている。自分は女だけど、それ以上に「長尾景虎」であるということを意識しています。

女であることの強みも、弱みも、全部超越したような。

そこが今までの女性説をベースにした話とは違うところかな。

 

これから彼女はどうなっていくんでしょうね~。

武田信玄と温泉でニアミス(しかも女姿)してしまうドッキリ展開あり。

師とも兄とも信頼する修行僧との禁断の関係もあり。

女でもよし、男でもよし。一粒で二度おいしい。

 

がっちり乙女が喜ぶ萌え要素も詰まっています。

史実を踏まえつつ、女武将がどのように戦っていくのか。

wiki見たらあっちやこっちや戦いに明け暮れてて大丈夫かなとも思うけど・・・

もし戦場で信玄さんと再会したらどうなってまうんや。あいつ絶対惚れとるで。

 

気になった方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

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↑今後30年に渡って景虎を支えることとなる宗謙。彼の前だけで景虎は甘えることができるのです。

 

 

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↑武田信玄はキツネのような優男として描かれています。底知れぬ野心を感じる。

 

 

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