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日本神話をもとにしたファンタジー『空色勾玉(そらいろまがたま)』ー荻原規子

 

 

空色勾玉 (徳間文庫)

空色勾玉 (徳間文庫)

 

 

第一弾はこちら。

おそらく読書好きのアラサーなら7割がご存知であろう、日本を代表するファンタジー小説。

初版が発行されたのは1989年!

20以上前に執筆されたにも関わらず、いつ読んでも面白くて夢中になってしまう作品。

 

日本書紀を下書きに書かれているが、日本神話を知らなくても全然読めます。

 

 

以下、ネタバレ含むあらすじになるのでご注意ください。

 

 

 

いまだ大地が混沌とし、人間が生活を営む傍ら、神々が地上におりその支配力を強めていた時代。

豊葦原(地上)は天から降りてきた神々の勢力・輝(かぐ)と、古くから大地に根を張って生きてきた人間の氏族・闇(くら)とで勢力争いが繰り広げられていた

 

主人公となる少女・狭也(さや)は輝の氏族で育った、勝ち気でおてんばな普通の15歳の少女。

彼女は村で行われた祭りの日、自身の運命を変える二つの出会いを果たす。

ひとつは、狭也を水の乙女という巫女姫・狭由良(さゆら)の生まれ変わりだとして闇の氏族に連れ帰ろうとする者たち。

もうひとつは、輝の神のひとりで、狭也を見初める月代王(つきしろのおおきみ)。

 

幼いころから自分の出自に違和感を感じていた狭也は、本当は野蛮人の土蜘蛛=闇の一族の生まれだと知りひどく動揺するが、彼らの誘いを断ち切って、かねてから憧れていた月代王の侍女として輝の宮殿へ参内する決意をする。

 

輝の宮は想像していたような煌びやかな生活ではなく、草木を跳ねまわって育ってきた狭也にとっては苦痛となる出来事ばかりが起こる。

頼りにしていた月代王にとって狭也は前世の狭由良姫の変わりでしかなく、月代王の姉・照日王(てるひのおおきみ)からは「水の乙女は輝に憧れるも裏切って身を亡ぼす」と侮蔑され、心身ともに疲弊していく狭也。

 

そんな宮の中で、狭也はひとり鎖につながれた照日・月代の末弟、稚羽矢(ちはや)とであう。

輝の秘剣・大蛇の剣を鎮める巫女として、姉兄によって自由を奪われ孤独に生きてきた稚羽矢は、外の世界への憧れから魂だけをほかの動物に移してかりそめの自由を得ていた。

あどけない子供のような稚羽矢を不憫に思った狭也は、自分と一緒に宮から逃げ出して、故郷の闇へ逃げようと少年を誘う。

 

こうして少年と少女は共に闇へと逃げ延びるが、

不死不変の力を持ち、強大な大蛇の剣の担い手だが輝と闇の戦争には無関心な神である稚羽矢と、戦争のカギとなる水の乙女という大役を任されるも何もできず無力感にさいなまれる狭也。

酷くなる一方の争い、照日王の恐ろしい策略の中で、二人は一緒に少しずつ成長していく・・・というお話。

 

 

主人公の狭也は、ちょっとおてんばだけど本当に普通の女の子で、転生を繰り返す巫女姫の生まれ変わりだけど、特殊な力があったり巫女めいたカリスマがあるわけではない。面倒見が良くて、大人相手にもはっきり意見を言うことができる、委員長タイプの女の子。

 

もう一人の主人公、稚羽矢は神の末子に産まれたけれど、姉兄からは「できそこない」と存在を隠されている。自分でも力を持て余してて、大蛇の剣の封印のために自由を奪われ、動物に憑依することでしかた楽しみを得ることができない。

 

自分の意志がなく、何をするにしても動物だったり狭也の意見がなければ行動しない生まれたての神様が、狭也を通して世界を知っていき、どんどん人間らしくなっていくのが良い。

 

神様はやり直すことができない。

それは不死不変の存在であるから、何度死んでも生まれ変わってやり直すことのできる人間とは根本から考えが違うのだ。

 

不変の神様である稚羽矢が成長し、最後に自分の不死の命を捨てて人間になることで、輝と闇の争いは終わる。

何度壊れても、間違えても、作り直せばいい。

まるで土の器を作るように。

希望ある人間の生き方が示されていて、胸がほっとする。

読後感「はあーッ(終わってしまった)」って感じ。

 

やっぱり何度も読み返してしまう。。。

ぜひ稚羽矢と狭也は、いつもと変わらずボケとツッコミで仲良くしてて欲しいし、鳥彦は狭也の肩の上で憎まれ口叩いてて欲しい。

科戸王は最初ロリコン・・・?!って思ったけど意外に若かったし、失恋したけど可愛いい奥さんもらって子だくさん家庭築きそう。笑

 

 

 

日本神話を下書きにしてますが、スサノオが稚羽矢、アマテラスが照日、ツクヨミが月代となっております。

イザナギの両目と鼻から生まれたので、照日と月代が二卵性双生児、稚羽矢が末っ子ってかんじでしょうか。

神話ではスサノオはすごい暴れん坊でアマテラスも手を焼いているけど、こっちだと照日王が絶対!て感じ。ただ、「何をしでかすか分からないから恐ろしい」ていうのはあるかも。

最後デレたしね。

 

輝と闇の陣営だけど、

輝はイザナギという主神を地上に降臨させるために地上の環境を整備=イザナギに反抗する神・人間の排除のために戦っているけど、神様は照日と月代しかいなくて、あとは輝側の人間だけ。

闇は根の国=冥界の主となったイザナミを奉り、死んだらイザナミのもとで休んでまた生き返るっていう輪廻思想。おんなじように生まれ変わる土地とか山とか草木とかに神様が宿ってて、この神様が消えてしまうと生き物が生きていける環境がなくなるため、輝に対抗しているって感じかな。

 

天孫降臨でいう、国つ神=八百万 対 天つ神=天上神(唯一神?)ってところ。

 

古事記読み直したくなりますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわり。

 

 

 

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