陰謀渦巻く宮廷で王女と影武者の絆は強くなる『王国の子』ーびっけ
今回は中世イングランドをベースとした漫画をご紹介します。
かの有名なエリザベス一世をモデルとした主人公が、王位をめぐる陰謀に巻き込まれつつ、周囲と力を合わせて生き延びていく物語です。
2017年11月現在で8巻まで発売されています。
物語も佳境に入り、おそらく9巻で完結予定です!
連続で歴史ものばっか書いているけど、歴史には詳しくないしwiki頼みですよ私は。
この『王国の子』は、舞台こそゼントレンという架空の国を舞台にしているけど、登場人物はそのまま史実通りの名前と設定になっています。
ゼントレンはイングランド、スーデルはスペイン、ネルトはアイルランド、ウステンはフランスでしょうか。
以下ネタバレしてます。
あらすじ(1~8巻)
王族とその影武者
ゼントレンの第二王女・エリザベスは11歳。
彼女は国王・ヘンリーの娘で王位継承権を持つ。彼女自身は素朴な女の子だが、王家たるものいつ命を狙われるか分からないので、そのしきたりに従い、影武者を用意しなくてはならない。
影武者の選定に任命されたのは幼いころからエリザベスを知るウィリアム・セシル。
数年の年月を経てようやく彼が探し当てたエリザベスの影武者、それは13歳の少年・ロバートだった。
ロバートは下町の劇小屋で日銭を稼ぐ孤児で、病気の弟を養うため、その美貌を以って舞台では女役を演じていた。
男ながらエリザベスと瓜二つの容姿を持つロバートは、弟を人質に取られ、また影武者としての報酬につられ、半ば強制的に王家の前に連れてこられる。
最初こそ抵抗していた彼も、弟を守るためにエリザベスの影武者になることを受け入れ、エリザベスも彼の粗野だが裏表のない性格を信頼していくようになる。
ロバートのほかに、王家の影武者はふたり。
国王ヘンリーの影武者・マシューと、エリザベスの弟・エドワード王太子の影武者・ジョン。
王家の影武者となった者には、生活には純分すぎるほどの報酬が与えられ、任期後も働かなくても生きていけられる保障が与えられる。
しかし真実は、王家の影武者となった時点で、ロバートはエリザベスが亡くなれば、口封じのために王家のもうひとつの影・ウォルシンガム家に消される運命にあるということを、ロバートもエリザベスも知らなかった。
王位継承をめぐる陰謀
庶子扱いされるエリザベスは権力争いとは無縁の生活をしていたが、父王ヘンリーの死を皮切りに、次々と陰謀に巻き込まれるようになる。
-
弟・エドワード王の暗殺
エリザベスの父・ヘンリー国王が崩御すると、まだ9歳の王太子・エドワードが国王として即位する。
若すぎる王の誕生に、彼の叔父であるシーモア卿が権力を強めていく一方で、シーモア卿の弟・トマスは王太后の愛人となってエドワード王を操ろうと画策する。
そして、エドワードの影武者であるジョンも、彼の想い人であるジェインを女王とするため、密かにエドワードに毒を盛っていた。
彼らの陰謀により、エリザベスはトマスと姦通していたとしてあらぬ疑いを掛けられて王宮を追われ、シーモア卿の手で大逆罪の罪を着せられたトマスは死刑に処される。
いっそう強くなるシーモア卿の影響下で宮廷は混乱し、エドワード王は毒により次第に体を蝕まれていく。
そんな国王の耳元で、ジョンは「厳格な旧教徒のメアリも、庶子であるエリザベスも次期国王には相応しくない。もう一人の王位継承者・ジェインがいる。」とささやく。
かくしてエドワードの死の間際、次期国王として指名されたジェインは、宮廷の奥から表舞台へ引っ張り出され、ジョンは主君の死に伴いウォルシンガム家に殺害される。
-
ジェイン女王の即位と逃亡
ジェインは訳も分からないまま女王に即位され、実権は彼女の後見であるダドリー家が持つようになるが、今まで名前も上がらなかった遠縁の娘が支配者になることに、横行貴族だけでなく庶民も反発し、自身の継承権を強固に主張するメアリの存在もあり、ジェインたちは次第に追い詰められていく。
そんなジェインを可哀想に思ったエリザベスたちは密かに彼女を庇護し、反逆者として処刑が決まった彼女を逃がすために行動するが、ジェインは幼馴染のジョンが王家に暗殺されて事実を知って、全てを拒否して王家に復讐することを誓う。
-
メアリ女王の即位とジェインの復讐
ジェインの逃亡により、ゼントレンの王位はメアリ女王のものとなる。
メアリは父王ヘンリーの最初の妻の娘で、母親を苦しめた女の娘であるエリザベスを憎んでいたが、成長するにつれて美しく聡明になっていく妹の姿と年老いて美人でもない自分を比べて、一層敵対心を燃やしていく。
メアリは自分の立場を固めるために、母親の生国であり旧教を信仰するスーデルの王子との結婚を進めるが、他国の血をゼントレンに入れ支配されることを危惧する諸侯や民衆の反感を買ってしまう。
メアリ女王への反感と比例して妹姫のエリザベスへの支持が強くなり、それを快く思わないメアリ派の策略により、エリザベスは反逆の共謀者として死刑を命じられてしまう。
しかし、そんな彼女の窮地を救ったのは、逃亡していたジェインだった。エリザベスへの恩を感じ、彼女ならゼントレンを導けると期待したジェインは、全ての陰謀はジェイン元女王が画策したものだと証言し、塔から飛び降りてその儚い命を散らす。
彼女の犠牲を以って辛くも命を救われたエリザベスだが、その後もメアリ女王は不穏な動きを見せ・・・。
エリザベスとロバートのきずな
多くの陰謀を潜り抜けていく中で、エリザベスとロバートは互いにその存在を大切に思うようになる。
本来、影武者は主が緊急時の時にだけ身代わりになるもので、主が望むときに入れ替わるのだが、ロバートは積極的に彼女を守ろうと数々の修羅場に身を投じていく。
トマスの処刑に同席せよと命じられた時、絞首刑に処されようというとき・・・。
もとは弟のために影武者の役を引き受けたロバートだが、弟の死後はエリザベスという庇護対象を心の拠り所として生きていくようになる。
ロバートと生活を共にするようになって、彼の飾らない人柄や臆せず自分を叱咤するロバートの存在を掛け替えのない友達のように感じているエリザベスは、そんな彼の捨て身に激しい怒りを抱く。
エリザベスとロバートは、ロバートの死の危機に際しようやく互いに本音を吐露する。
お互い対等に、どちらかがどちらかの為に生きるのではなく、一緒に運命を共にしようと誓いあう。
感想
現在、メアリが病気により崩御し、とうとう王座がエリザベスのもとに転がってきたところで続いています。
王位からは一番遠いところにいた彼女が、宮廷に潜む陰謀により女王として即位し、ゼントレンを導いていく存在になるのか。
そして彼女と魂を分けた存在であるロバートとの関係はどうなるのか。
あと1巻で最終巻とのことですが、どうなってしまうんでしょう~?
史実と照らし合わせると、エリザベス1世はその後イングランドを長きにわたって栄光時代に導いていく名君となるわけで、ロバートのモデルである、女王の幼馴染・ロバート・ダドリーは彼女の愛人兼臣下として表舞台に出てくるようですね。
ウィリアム・セシルもその晩年まで腹心の部下として活躍しているようだし、王家の影の臣下であるフランシス・ウォルシンガムも、彼女の優秀な手足として活動していくようです。
愛人はたくさんいたけどついぞ結婚しなかったヴァージン・クイーン。
その心にはいつも半身であるロバートがいたんでしょうか。
王家の影武者は主が死ねば殺される・・・その事実をまだエリザベスとロバートは知りません。
もし真実を知ったら、エリザベスはどうするのでしょうか。
ロバートを大切に思っているがゆえに、彼を縛り付けてはいけないと苦しんでいるのに。
ロバートはロバートで、エリザベスを信頼している大切に思っているけど、彼女が死んだからと言って後追いするようなタイプではないから、やっぱり殺されるのは嫌だろうな・・・。
絶対に死なないし、殺されない。
そのために二人で協力して宮廷を生き延びていくのかな。
絵も綺麗だし話もまとまっていてとても読みやすいです!
良かったらぜひ。
ランキングに参加しています。
よろしくお願いします。